1980年代後半、私は米軍黒人兵が聞いていたブラックミュージックに取り憑かれていた。
フェアレディの屋根わざわざ外し、直線道路を滑走しながらの、soul 2 soul
Yナンバーの車と私のMR2を2台並べて洗車しながら大音量で流した、Will Smith
IceT、Guy、Queen Latifah…
彼らの選曲は常に正しかった。
「ナオミがきっと気に入ると思って買っておいた」
ベースのストアで購入したビールとCD、彼らが差し出すそれらに夢中になっていた私。
彼らのRを発音しない曇った言葉はなかなか理解できなかったが、音楽の話題ならなんとかなった。
そんなある日不良の黒人兵がストアから買ってきたキュウリを取り出し私にこう教えてくれた。
「ナオミ、これを英語でなんて言うか知っているか?
これはな…」
新しく覚えた言葉を忘れまいと反復する私を、満足そうに眺めていた黒人兵の悪巧みに気がつかなかった以後2年。
私は彼らが教えてくれた音楽とともにその発音を大事に抱えていた…。
…カムキューバ…。