釣船 湘南 茅ヶ崎 一俊丸

ヤリ手ババァを諦めた日

 1枚描いてなんぼ、の貧乏商売の私は、ずっとヤリ手ババァに憧れていた。
 なんだかよく分かんないプロヂュースをして成功している自分の姿を、ことあるごとに思い描いてはニマニマ。
 ブラジャーの間に札束はさんで、ロールスロイスでシャンパンあけるとか。
「あんた可愛い顔してるじゃないの」の一言で、ジャリタレをスターダムにのし上げるとか。
 一体どんな実態なのか、自分でも理解していないのだが、とにかく金はうなるほどあって、私の一言でプロジェクトの全てが動く的なイメージ。
 結局そのかけらにもなれないまま、人生の半分が過ぎていく…。ああ〜。
 
 だけどママ友でお金持ちのリカちゃん(仮名)から、先日本当のお金持ちというものを聞いて一瞬にして夢が吹っ飛んだ。
 リカちゃんが通っていた小学校は私立の有名校で、政界や財界の実力者の子供がわんさかいたらしい。
地元では指折り数えるリッチなリカちゃん家も、その有名同級生レベルで見れば、カテゴリー貧乏家。
同級生の家に遊びに行くたびにショックの連続だったとか。
「ねぇ、ナオミちゃん。
お金持ちの自宅ってなにがあるか知ってる?」
「えーーーっと、プールとか?」
「ん〜、それは当たり前の設備だね。
もっとお金持ちの家にはね…、
…ヘリポートがあるんだよ」
 どっひゃーーー。
救急病院でもなく、自衛隊でもないのに、まじっすか?
一体、なにに使うの!?
 こりゃ、私、あと50回生き返っても、とてもヘリポートを作るまで成功できそうもない。
 ヤリ手ババァのハードルの高さにクラッとして、そしてあっさり諦めることにした。