釣船 湘南 茅ヶ崎 一俊丸

大人の対応

2010年、ナオ太郎(仮名)が、小学校に入学した年、私たちの時代とのあまりのギャップに仰天した。

土曜の授業もなければ、理科、社会もない。

代わりに時間割で目立つのが図工や読書。

通信簿はたったの2段階評価。
学科ばかりでなく、『人の話が聞ける』なんていう評価の項目もある。

運動会はまだしも……凧揚げ、海岸での砂遊び、マラソン大会……の小さい行事でも、いちいち父兄が呼び出される。

どっちがいい悪いの判断は別として、最近の公立小学校はまるで幼稚園の延長。

全てにおいて、ゆるい。

 

そしてその甘さに危機感を憶える母親たちが、低学年のうちから学習塾に通わせるのだ。

もちろんこれに反対な親もいる。
特にパパたちに根強いのが、『小さいうちは勉強などしないでいい』派。

子供にボール一個持たせて外に出せば、全て解決っ!……って、非現実的じゃね?……と、思っても、外派パパの意見に、ママたちは逆らってはいけない。

「しかし中学に入ると授業のスピードが突然早くなりますよ。
今のうちに……」などと突っ込んではいけない。

 

このパパは外で泥だらけになって、今まで生きるすべを掴んできたのだ。

子供の頃インドア派だったママたちには分からない、外の世界。

もしかしたらそこには、このパパの言うとおり、塾に行くより有益なナニかがあるのかもしれない。

だから「まー、そうね」とか、「外遊びは大事よね」とか、当たり障りのない相槌を打って、お茶を濁す。

 

これぞ、大人の対応だ。

ところが……、

こういう会話に女王リカちゃん(仮名)がいると、話は終わらない。

(ちなみにリカちゃんの子供は、校内で唯一、進学塾に通っている)。

「……で?」と、笑顔で前置きした後にリカちゃんは、堂々とこう言い放った。

こ、子供のことならまだしも、40過ぎのオッサンの人生にまで、容赦なく爪を立てる。

 

言われたパパはもちろんのこと、場にいた父兄全員が一気に凍り付いた……。

 

リカちゃん、リカちゃん……、

今年の冬の異常な寒波、日本海側の記録的な大雪……、

全てが君のせいだって聞いても、私は少しも驚かないよ。