釣船 湘南 茅ヶ崎 一俊丸

敗戦投手.3

 

容姿からか、私を『猫派』だと勘違いする人が多いが、その実私は完全な『犬派』だ。
頭が切れるとはとても言いにくいし、自分で考えることも得意ではない。

気まぐれに行動することは滅多にない分、信頼おける指示には忠実に、我慢強く従うことにしている。
大抵においてそのほうが、うまくいくのだ。

つまり自分の力が最大限に活かせるのは、正しい主人を持った時。

『自分のために文章を書くのはアマチュア。プロはみんなが知りたいことを書く』

そんなことは分かっている。分かっているはずだった。

でも改めて突きつけられてみると、果たして今まで自分が発表してきた文章が人のためになっているか疑問になった。
では、本当に読者が知りたいことってなんだろう?

ついでこの数年、呆れるくらい繰り返してきた、不毛な諍いを思いおこした。

『時代が変わったことを認めないのは、新しいことを拒むのは、あなた自身が傲慢なだけだ』

古いタイプの編集者やライターに自分が発した言葉だったはずなのに、数倍研ぎすまされて、自分の胸に突き刺さる。

そうか。
変わらない業界に苛立っていたのは、自分自身もその1人だったからか。

時代は変えられない。

業界は変えられない。

ならば変えられるのは、自分自身だけだ。

傍観者から当事者になること、全てにおいて責任をとること。
逃げずに今、この地に足をつけよう。

人は誰しも、本当に自分がやらなくてはならないことを、心の底では分かっている。
だけどそれは常にある種の挑戦なので、そこには触れないように、毎日何枚もの言い訳のフィルターを覆いかぶせて生活しているのだ。

自分がやらなくてはならないのは……考え始めると、すぐにピンときた。

それは本当にみんなが知りたいことでいっぱいになった ウェブ制作。
一番身近でありながら、今まで自分がそこの嫁だと公にしていないことで一番遠かった船宿の。

kazutoshimaru.net の立ち上げを決めたのは、こんな真冬の朝だった。

(つづく)

[amazonjs asin=”477790735X” locale=”JP” tmpl=”Small” title=”職業釣り師の悠々釣記 (エイ文庫)”]

↑ 140Pのヒラスズキとの格闘シーンは、息を飲みます。
自分もこんな凄い文章がかけたら、もっと仕事あったのにな〜(苦笑)。
釣りやらない人でも、読み物として十分面白いですよ。