釣船 湘南 茅ヶ崎 一俊丸

憧れのオトコ。

 愛息ナオ太郎(仮名)は保育園のクラスに憧れの男子がいる。
 そのコの名前はスバル(仮名)。
男ばかり3人兄弟の末っ子なので、上2人の影響をたっぷり受けている彼。
誰よりも早く兄たちから流行を仕入れ保育園に広めるから、他の園児より大人っぽく見えるらしい。
 最近ではスバルのヤることなすことに感嘆し、男らしいと絶大なる賛辞を送るナオ太郎。
毎日園から帰っては、「今日のスバル」について嬉々として語る。
 例えば…、
「ママ! 今日スバルがまた男らしかったよ。
お昼寝の時にこんな寝方だった!」
 
「う、うん…。そ、それはずいぶん大人だね…」と、返事に困る私…。
 私の素直な同意を得られないナオ太郎はまた、スバルウオッチングを続ける。
「ママ! 今日スバルがまたカッコよかったよ。
お昼寝の時こんなだった。
どーよ、男らしいでしょ!?」

「う、うん…。そ、それもずいぶん大人だね…」と、再度言葉を濁す私を見て腑に落ちないナオ太郎。
 しかし…
とうとう私がスバルを男、と認める日がヤってきた。
 それは3月3日、桃の節句。
その日ナオ太郎は帰宅すると、どーだとばかりに自信たっぷりでこう切り出した。
「ママ。
今日のスバルは大人だったよ。
これを聞いたら、絶対ママもスバルが大人だって分かるから!」
「はい、はい。今日はなーに?」
「それは…
スバルが…
今日の…
おやつの…

 さ、桜餅の葉っぱを食べられる5歳児…。
 ス、スバル…。ヤルな…。
 思わず私は唸った。
「そ、それはすごい…。
そんな芸当…大人のわ、私にもできない…」
 思わず負けた気分になる私とは対照に、勝ち誇った顔のナオ太郎。
 スバル君、桜餅の葉っぱと言わず、男の子の節句のかしわ餅の葉っぱも、ぜひ。