★ 『ツリまくりのイキまくり』は隔週間つり情報に連載、のちに単行本になったものから抜粋、大幅改訂したものです
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『裏・沖釣り特訓塾』〜伊豆大島 忠兵衛丸
隔週刊『つり情報』の、沖釣り特訓塾スペシャル番外編は、カトー記者と私、C.S.C.ナオミの釣りバトルと決まった。
両者得意の魚種を選んでの2回戦。
カトー記者のセレクトは、あの厳しいジャッジの大塚貴汪塾長も太鼓判を押す、シロギス釣り。
確実で地道な作戦に対し、私のセレクトは一発狙いかと思われがちな、大島のコマセマダイ釣り。
「大島なんて行ったこともないのにぃ。
もう、派手好きなんだから〜」
そう思っている読者諸君、心配無用。
言わせてもらおう、勝ちたい奴は私に賭けなっ!
確かに今まで私が釣ったマダイは最大1.5キロ、総数たったの3枚。
貧ボークリエータの身でありながら、ウン十万はたいてマダイ釣りをしているわりには、背筋も寒々、淋しい数字…。
でもね、世の中、数字が全てじゃないぜっ。
あくまで私を強気にさせるその根拠。
それは、運。
なぜか私、ココゾの時は赤い魚についている。
去年の『南伊豆サンスポ、ワラサ・マダイ大会』で総合10位の座を手にしたのを筆頭に、手巻きでアコウもボウズなし。
アジを狙えば、本命より釣れる、サクラダイにアカタチ…。
そして私なりの作戦も。
CuteでSexyでCool、C.S.Cの名に恥じない私のルックスで、見た目の『芸能点』を満点に。
いざとなれば前夜、塾長の寝床に忍び込み、コマセをまく前に別のモノをまいてもらう色仕掛け大作戦も。
それに荒波の大島の中、船に弱いカトー記者が一日中、竿を出し続けられる訳がない。
『健康点』はすでに、高ポイント決定!
海よ、シケろ、シケろ〜!
CrazyでSelfishなCreater、C.S.C.NAOMIEの、大島マダイ釣り、始まり、始まり〜!
当日は雨交じりの天気。
風は強く、波は高く、状況は最低最悪。
乗っ込みにはまだ早いが、数日前には7キロクラスもあがったと聞いて、心臓はバクバクだ。
だって7キロの魚なんて、私の大型レコード、ワラサの4.7キロを遥かに超す重さだもの。
ポイントに着いてすぐ、大塚塾長が、
「今までのタイ釣りは全て忘れて」
塾長の大島マダイ攻略法は、私が信じていたマダイ必釣=頻繁な手返しの真逆だった…。
決して竿を振って、コマセを出さないこと。
エサ取りがいない場合は、何十分も仕掛けを投入したままに。
気合入れて臨んだのに、なんだか肩すかしの完全置き竿…。
しばらくしてカトー記者が推定2キロのマダイをバラした後、やっぱりの船酔いに倒れる。
作戦成功だけど、私も大笑いとはいかない。
私に掛かる魚はハオコゼとヒメばっかりだ…。
コトがおきたのは11時過ぎ。
大島を知り尽くした塾長が、キリリと海を見つめて、
「潮が変わった。
そろそろくるな」と、つぶやいた。
その言葉に船上の空気は緊迫し、一斉に張りつめる。
私は妙な予感と、指示に押され、念入りにドラグと5号のハリスをチェック。
反応したのは私の竿。
だけどそれは極々小さいフワフワとしたアタリ。
「あ〜、またなにか、小魚がイタヅラしている〜」
せっかく大島まで来て、これじゃ泣いちゃうよ。
渋々、竿を手にリールを巻きだす、カリカリ…。
しかし直後、強くなった雨とともに、ズ〜ン! とんでもない抵抗が竿に!
そのまま竿はギュ〜ン! と海に突き刺さり、道糸が横に走る。
え!?
リールを巻いていたのに、根掛かり!?
そこに私の竿を見て、興奮した塾長の声、
「きた!
本命、大ダイだ!」
げげっ。
私の頭の中は大パニック。
ボンッ! という音とともに破裂して、突入したのは真っ白をとおりこし、無色透明の世界。
アシストに飛んで来た塾長が、
「竿、立てて!」
塾長にフォローされ、2人掛かりで竿を持っても、またズ〜ン! の一撃で竿は持っていかれる。
「この引きじゃ、10キロはあるぞ」
宿で見た、塾長の10.1キロの魚拓を思い出して、またまた頭は、ボンッ!
ど、ど、ど、どうして、3、4キロの中堅サイズが掛からなかったの〜?
自分は運がいいのか、悪いのか?
ああっ、巻いても、巻いても、糸がズルズル出ちゃう〜。
同じマダイでも1キロクラスのクックッの明確な引きとは、まるで別。
3コスリ半のドーテーと百戦錬磨のAV男優ほどの大違い。
実際、10キロのタイは30年は生きている超〜ツワモノらしい。
40メートルの水深なのに、ついにカウンタは80メートルを記録。
「あ〜、巻いて、巻いて!」
船長の叫びも空しく、ファイトから12分後…ブチッ…。
「あんなアタリはマニアでも一生に数回しか訪れないよ」と塾長。
例の『健康点』のお陰でカトー記者には勝ったものの、気分は真っ黒。
ああ、なんてドラマティックパラダイス大島…。
は〜。
家に帰るのも憂鬱。
なにしろ新婚のダンナは船長で、人間の価値を釣りのうまさで判断している。
釣行の後はゴンズイ、アナハゼと小魚扱いされているのに、今回の一件でミジンコ、ミミズと下等動物に格下げされるのは、必至。
結婚式が終わって3週間たつのに、まだまだ籍は入れてもらえそうに、ない。