正直私のようなR&Bファンの中にマイケル・ジャクソン好きの人はあまりいない。
曲がポップ過ぎるのと、白人風に整形を繰り返すようになってアフロアメリカンたちからの風あたりが強くなったからだ。
コカ・コーラのCMで、マイケルの子供時代の役に、彼は白人の子供を使った。
TVリポータに肌が白くなった訳を聞かれ、男のクセに泣きそうになっていた。
マイケルの奇行が目立つようになった頃、当時日本人の耳にはなかなか入ってこないコアな情報を基地のクラブで聞きかじってきては、私もまた黒人兵と一緒にマイケルを小馬鹿にしていた。
マイケルよりジャネット・ジャクソン、マイケルよりジャクソン5を好んで聞く…それが私たちの当たり前だった。
だから先日公開された『THIS IS IT』もそんなに期待して見に行った訳ではなかった。
『THIS IS IT』
それは今年の夏、ロンドンで開催されるはずだったマイケル・ジャクソンのライブのリハーサルムービー。
そのライブの直前に急死したこともあって、借金苦の末のおざなりな仕事をイメージしていた…痩せた不健康な体をひきずって、豪華なステージで誤摩化して歌うマイケルとか…私には衝撃のムービーであった。
スタッフと話すマイケルのパーソナリティは聞いてのとおりセンシティブそのものだけど、ステージでの存在感、昔と変わらないダンスのキレ、完璧を求めるプロデュースぶり…『誰も見たことのない彼に逢える』のコピーを裏切らない内容だった。
ライブそのものも大スクリーンに映し出されるCGや、大掛かりなセットはもう単なるコンサートの域を越えている。
それは他の誰にもできないKING of POP のマイケルにしか作れない空間だ。
『初日が待ちきれない』と語ってた選ばれたスタッフや、マイケル本人のためにも実現できたら、よかったのにね…と思うとなんだか泣けてくる。
マイケルの整形し尽くした顔はとても50歳には見えず、傷つきやすい迷子の小動物にさえ見えた。
マイケルは偉大なアーティストだったのに、みんなでよってたかって、笑い者にし食い物にした気がしてくる。
私もまたなんにも知らなかったのに、悪口言ってごめんね、マイケル。
『THIS IS IT』、公開が短いので、80〜90年代が青春だった方はお早めに。
洋楽ファンじゃない人も、普通にマイケルの曲だけは全曲知っていることにびっくりするはず。
そして曲ごとのダンスも不思議と踊れることに気がつくはずだ。