☆『ツリまくりのイキまくり』は隔週間つり情報に連載、のちに1999年に単行本になったものから抜粋、大幅改訂し
たものです ☆
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アオリイカの釣り方はこちら
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20. 小さい王様 〜 熱海港 かろうや
「自分でもガキンチョのカード集めと同じレベルだと思うんだけど…」
照れ笑いを浮かべながらも隣のツリオヤジが、取り出した木箱はず〜っしり重い、まるでご贈答品。
蓋を開けると…ジャーーーンッ!
中には餌木がギッシリ30本。
「そんなんじゃ、足りないぜ!」と、叫んだオモテのオヤジの箱に収まった餌木は…ジャーーーンッ!
堂々の60本。
今日は初のアオリイカ釣り。
イカの王様と呼ばれるアオリイカだが、船上はマニアたちの意地の張り合い、ほとんど子供の喧嘩状態。
王様のお顔を拝見するのに、厳かな雰囲気はゼロ。
先手を打ったのは隣のオヤジ。
上がってきたのは線が太く、頭の大きいアオリイカ。
おお〜っ、さすが王様の風格!
「オリーブ色が当たったぜ!」の一言で、船中一気にざわめきたつ。
しかし胴の間で大型が一杯上がった後は続かない…。
手バネ竿を使うのも初めての私。
扱いに慣れるまでは1人スカッと空振りを続ける。
5時間の1人素振りから、解放されたのは11時を回ったころ。
シャクっている最中に感じたのは、クッという重み。
竿を立てて道糸をたぐりよせると…アレ?
確かにあった手応えがナイ、なんの抵抗もナイ。
バレちゃったのかな〜? と、餌木を水面から引き抜こうとすると、そこに見えたのは…
「あ〜っっ!」
餌木の陰に申し訳なさそうなアオリイカの姿、なんと餌木より小さい極小6センチ…。
「おおっ、でっかいホタルイカ!」と某オヤジ。
船長でさえ、
「こんな小さいアオリが釣れたの初めてだよ」
釣れないより恥ずかしいことのようなヒドイ突っ込み…。
それでも私には初めて手にした王様。
あくまで丁寧に生簀に離す。
が、私のスモール君はすぐに他のイカに突かれ隅っこへ。
ミジメに真っ黒に変色し、攻撃を避けるため脚を折り曲げ、さらに小さく丸くなる。
みんなその姿を見てさらなる追い打ち、
「フナメシが入ってるぞ〜!」
く〜。
ひ、ひどい!
もう闘志メラメラ。
ランチ後の午後船では大王様を釣ってやる〜!
2時過ぎに始まった後半戦では、まずオモテの常連氏が1杯ゲット。
しかし単発、一発止まり。
例え乗り渋りでもシャクリ方は一緒だ。
船長もマニアの面々も同じスタイル、ペースのまま。
う〜ん、もっと工夫の余地はないものか?
アオリを興奮させる誘惑のストローク考案は無理なのか?
えっと…
始めは浅くゆっくりと…
時々『の』の字でかき回し、焦らすだけ焦らしてから、ココだ! という時に一気に深く激しいストロークをブチ込んで…
くぅ〜ぅ、たまんな〜い。
…おっと、これはイカじゃなくて、私の好みだった…。
結局、ビギナーの私ができる精一杯の技は餌木を取り替えることぐらい。
朝からずっと付けている手堅い定番、ピンクを替えて、ちょっと冒険、ブルーに挑戦。
しかし…5分後…ま、待て、やっぱグリーンに乗る気がする。
潮色を読む技術もないから単なる勘だが、餌木は一個しか付けられないから選択は超シビア。
よし、これで、と決めたのに、また3分後…
う〜ん、なんかこのラインが入ったものの方がいい気がする。
形は小振りだけど、中心に太く入った青筋が気持ちよさそーっ。
…おっと…。
これもまた私の好みだった。
熱海の夜景が海面に映りだし、日の入りとともにみんな真剣、だんだん無口になっていく。
時刻は待望の17時半、噂のゴールデンタイム。
1ストロークごとに気合が入る。
船中水を打った静けさ。
もう餌木を替えている時間も惜しい。
隣のオヤジは前回1人爆乗だったブルーの餌木を握りしめ、
「お、俺はお前と一緒に心中するぞー!」
突然アタったのは私の隣の隣。
「船長に来たぞ!」の声が終わらないうち、ガツンッ!
衝撃で私の竿が止まった。
「わ、私だ。来た〜!」
「船長のアオリと夫婦なんだよ」
「イーー!?」
釣れたのは嬉しいけど、ちょっとかわいそ〜。
イカの重みを手で確かめながら必死でたぐり寄せ、無事にタモ入れ。
今度こそ立派な船中最大25センチの王様!
「やった〜!」
そのまま2杯で逃げ切り、堂々船長とタイで竿頭。
休まず続けた11時間。
3千回のシャクリが報われた!
さぞアオリオヤジたちは悔しいだろうと思ったのに、みんな出船前と同じ元気ムンムン上機嫌。
「次はいつ来ようか?」なんて話してる。
マニアの根性も王様級といったところかな?







エヘヘ(。→ˇ艸←)
おいらはいくつになっても
『釣りお兄さん!』って
呼ばれたい・・・・・・・・