『ツリまくりのイキまくり』11

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★ 『ツリまくりのイキまくり』は隔週間つり情報に連載、のちに単行本になったものから抜粋、大幅改訂したものです ★

ウィリーのコマセシャクリの釣り方はこちら
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11. ビクビクのコマセシャクリ片貝港 喜美丸

 つり情報の連載決定でますます釣りに力が入っていた暮れのこと。
大枚叩いて買った師匠とお揃いの竿とリールを手に、ウィリーのコマセシャクリ釣りに江見の新栄丸へ。

 しかし期待とは裏腹、初挑戦の私はシャクっても、シャクっても、ちっとも魚が掛からない。
隣で師匠は、
「うむ、このアタリは○○だな」と、予告的中。
次々にハナダイ、カイワリ、イナダ…と釣っていく。

 やっと私にアタリがきた、と海面に上がってくる赤い影にワクワク。
ハナダイかと期待すれば、実際は真っ赤な顔の…キントキ…。
…ガァッカリッ。

 竿頭の師匠のクーラーは大型ハナダイ9枚をはじめ豪華絢爛、才色兼備、酒池肉林の玉手箱状態。
でも私のクーラーはスカスカ。
1日中休まずシャクって、わずかにビンボーくさい極小キントキ3尾のみ…。

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 それ以来私は、ウィリー怖い、シャクリが怖いのハナダイ恐怖症。
トラウマは海より深く、ハナダイはブリ釣りよりアタリが少なく、スズキよりもヤリトリが難しいと、信じて疑わなくなった。

 だから今回、イサキとハナダイをもう1度、コマセシャクリで狙うと決心した後も、怯えまくりのビビリまくり。

 いつもは無謀に立てる釣果計画も、イサキはノルマ1尾、目標2尾、野望3尾と地味な数字。
ハナダイにいたっては師匠が釣ったお姿を拝見するだけで、もう十分満足です…と謙虚をとおりこして、すっかり卑屈状態。

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 そんな状態だったので片貝の喜美丸の船上で、出船前から私はため息まじり。
まずはイサキを狙いとなると船長から「小さく切ったイカをハリに付けろ」との指示。
ウィリーじゃない分少しは安心したが、一体どうなることか?

 すぐに師匠は大きめのイサキを上げる。
初めて見るイサキは地味で実直そうな事務系サラリーマンって感じ。
フン、私はもっと派手な奴がタイプさ、と横目で負け惜しみをポツリ。

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 しかもこの日は、「このところで最悪」という船長の決まり文句の食い渋りに落ち入る。
私にはアタリすらない。

 う〜ん、師匠の竿さばきを見ているとシャクるというより、タナで振ったコマセの中でエサを漂わせているって感じ…。
私も真似て…ククン、グーッ!

 き、きた。
本当にきちゃった。
アタリを喜ぶ間もなく、船宿仕掛けの1.5号の細ハリスがヤバイ〜!

 ど、どうする?
竿先がグングンとひっぱられる。
思わず師匠に、ヘルプ視線を向けるけれど、師匠はしらんぷり。

 落ち着け。
魚が引いてる時は待ち、弱ってきたらリールを巻く。
大丈夫、マダイだって取ったじゃない。

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 恐怖のバレとハリス切れが頭から離れないままの、騙し騙しのヤリトリはたっぷり2分。
取ったのは30センチのイサキ!

 ふ…ふ…ふぁっはっはっは!
で、できた、やったぜ!
苦節半年、構想6カ月。

 これでもう、コマセシャクリなんか怖くな〜いっ!
全然、オッケー!
シャクリは私に任せろ!

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 イサキをもう1尾取った後、ポイント移動。
いよいよハナダイ釣りへ。
仕掛けをウィリーに替え、さっきのようにゆっくりシャクる。

 そこに突然、右隣のオヤジの怒号。
「ダメ、ダメ。そんなんじゃ!」

「は? 私?」

 そのオヤジ、イサキの時はただ黙って釣っていたのに、ハナダイ狙いになった途端にいきなり変身。
熱血青春ハナダイオヤジッ!

「ビシの空きは全部閉めて、上だけちょっと開ける!」

「は? は、はい」

「シャクリはもっと素早く、もっとウィリーを踊らせて!」

「はい!」

「あ〜、もう〜、そんな竿さばきじゃ、ダメだ、ダメだ!」

 スパルタ虎の穴に無理矢理入門…。
そう言えば以前師匠が言っていた。
カワハギ、フグ、イカ、ウィリーのコマセシャクリにはの〜がきオヤジが多い、と。

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 オヤジは私を叱り飛ばしながら、弾丸のようにハナダイを上げていく。

「おらおら、下から15メートル。
入れ食ってるよ!」

 しかし私にくるのは、ビビビビビ〜ッのアタリだけ。
イワシ、小アジ、小サバ…のとても豪華とはいえない庶民派トリオでも、3回しかアタリがなかった前回を思えばパラダイス!

 イワシに仕掛けをめちゃくちゃにされようが、サバにブッチ切られようが、私はハッピー!
おまけに釣ったイワシを狙った海鵜まで釣っちゃった。

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 「そうそう。そんな感じ」
隣のオヤジに初めてシャクリを褒められた直後。
コツッときた感触に一瞬、根掛かり? と思うが、直後にギュ、ギューン! の引き。
この引きの正体が、待望のハナダイ20センチ!
とうとう手中に!

 ハナダイのルックスは、すっごいキュ〜ト!
口を切って血まみれになったイワシや、獰猛な目をギラギラさせたサバとは比較にならない上品さ。
ああ、あこがれのハナダイお嬢様!

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 その日は全般に型が小さく、釣ったハナダイの半分はリリース。
しかしキープ4枚でもスーパー充実の1日。
隣のハナダイオヤジに感謝しながら、自信まんまん、ヤル気むんむん、片貝を後にした。

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 記事中にもあるとおり、異常に厳しい師匠は船上ではほとんど口もきいてくれなかった。
様々な隣のオヤジに、釣り師の私は育てられたのである。

「『ツリまくりのイキまくり』11」への11件のフィードバック

  1. ハナダイ、釣りにいきたくなっちゃいました。
    いいですねぇ~ハナダイ!
    一度もハナダイ釣りしたことないので、
    難しそうですがやってみたいです。

  2. >カワハギ、フグ、イカ、ウィリーのコマセシャクリ(以下略)
    思い当たるフシが・・・
    でもオヤジではありません。(力説)

  3. みなさんコメントありがとうございます!
    >カナカナちゃん
    お久しぶりです! 
    環境が変わってなかなか釣りに行けないとか?
    早く復活してねーー!
    >キンメさん
    私も全く同じところを突っ込む予定でした…

  4.  ハナダイ釣りたい~
     これはいいおかずになりそうですね。
     でも難しいかな?
     

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