★ 『ツリまくりのイキまくり』は隔週間つり情報に連載、のちに単行本になったものから抜粋、大幅改訂したものです
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『庶民の釣り師』〜大原港、敷島丸
聞こえてくるのは、ため息とやけっぱちの捨て台詞ばかり…。
そんなひどい食い渋り中でも、淡々とした顔で黙々と釣りまくるオヤジ、つまり名人。
そんな名人は釣り人口のほんの0.1%にも満たない。
大多数の庶民の釣り師の釣果は、魚の食いのよし悪しに左右されているはず。
私ももちろん、そのうちの1人。
とくに最近、魚の機嫌とともに、貧果のワースト記録を堂々塗り替えている。
情けないほど、立派な小市民だ。
今回は大原港、敷島丸でのアカイカ釣り。
しかしこれ以上の記録更新は、辛すぎる。
不安の多い初のアカイカ釣りは午後船に回して、お土産確保のために午前船でイサキ釣りもやることに。
しかし手堅いはずのイサキがまさかの食い渋り。
たった3尾の釣果に、爆発寸前。
暴れたいのを必死に押さえる…。
なんとか岩ボーに体を押さえられて、30分後に午後船へ。
ところが、
「でぇ〜い!
もうどうにでも、なれ!」との捨て鉢の気持ちがよかったのか?
1投目からあっちもこっちも竿がギューンと唸る。
上がってきたイカがプシューッと水を吹く。
アカイカ、アカイカ、それも50センチ級まじりのアカイカ大パーティに突入〜!
「うわぁ〜!でか〜い!」と歓声が上がる中、師匠はすぐにツ抜け。
あの岩ボーですら、5杯をゲット。
そんな興奮のるつぼの中、硬く沈黙している女が…1人…。
日に焼けた顔は血の気が引き、不気味に青黒くなった…私…。
私はまだ久しぶりの釣りものの洗礼の真っ最中。
投入ごとに、
「なんでここまで…」と思うほど、仕掛けはめちゃくちゃ、ツノに刺さるのは私の指ばかり…。
船中、見事な孤独。
完璧に取り残されている。
2時間たってやっとまともに仕掛けを投入。
途端にギュウ、ギュウと竿を押さえつけられ、直後、ギュイ〜ン! イカとは思えない引きの手応え!
しかしその流し、船中で一番、投入が遅かった私。
イカが乗った途端船長が、
「はい、上げて下さい!」
イカ釣りにはお決まりのハイペース。
焦って巻くと、フ〜ッといきなり軽くなってしまった…バレた…。
次のポイントでは、心してすぐ投入。
今度もいきなりのギュウ、ギュウ、ギュ〜ン!
慎重に巻いてきたつもりなのに、また途中で…ふっ…と抵抗がなくなった…。
またバレた…。
悪夢はまだまだ終わらない。
次も次もそのまた次も、バレ、バレ、バレの連続。
ツノに残っているのは、墨、足のみ…。
私の青黒かった顔は、今では蒼白。
「一体、なぜ!?」
周囲のオヤジのうれし〜悲鳴が、胸にこたえる、神経に触って、イライライライラ…。
おまけにイカを取り込む時の墨があっちこちから飛んでくる。
大事にしていたセーターはたちまち黒い墨だらけ。
腕も顔も全身墨だらけ。
白いモノを浴びての放心なら慣れているけれど、黒いモノを浴びての呆然は初体験。
気分も真っ黒、漆黒の闇。
「ね〜ちゃん、竿が硬過ぎるんだよ」
見かねた隣のオヤジからアドバイス。
私の竿は240の短竿だが、確かに周りのオヤジの竿は3メートルを超すムーチングロッドばかり。
短竿派の師匠ですら、珍しく270を使っている。
「イ〜ッ!?」
バレの原因は分かったが、替えの竿はないし、どうしよう!
その時まで釣れない私を見もしなかった師匠が、
「コレ、使え」
手には1.5ミリのクッションゴム。
ジ〜ン…。
愛に感謝!
ゴムを付けてもう一回、竿を握る(あくまでマジな釣りの話)。
すると、ギュ〜ン! 早速イカが乗った!
しかし問題はこれから。
竿をしっかり抱え込み、ゆっくり、ゆっくり巻き上げる。
焦る気持ちを必死に押さえて、ソフトに、ソフトに。
イカが走ってもバレない程度、道糸が出過ぎない程度に微妙なドラグ調整。
こ、今度こそ、これで決めたい!
あと8メートル…5メートル…。
とうとう道糸の全てを巻き取っても、イカの重みが感じられる。
ドキドキしながら仕掛けを取り込む。
1番上のツノには、イカは付いていない…。
2番目のツノ…、これにもいない…。
3番目…、
「やった〜っ! 乗ってる!」
しかしツノが刺さっているのは辛うじて、触手1本。
しかもその触手、今にも切れそうに、細〜く、長〜く、伸び切っている。
し、心臓が痛い…。
慌てて叫ぶのは、
「ギャフ、ギャフ取って〜!」
その時、イカがムッと全身を縮めて、力の限り伸ばした。
シュッパ〜!
窮地のアカイカ、最後の一撃。
水面を蹴ってツノから離れた…。
とっさに手にしたギャフで引っかけようとしても…
ハリ先は水面を空虚にただようだけ…
…ガクッ…。
沖揚がり師匠のイカは20杯をこし、岩ボーでさえ15杯。
私は…5杯しか取れず…スソ。
食いのいい日でさえ釣れないなんて、これじゃあ、庶民の釣り師以下…。
口を曲げて涙を堪える。
「さ、竿だ。
竿が悪かったんだ。
私はヘタじゃない〜っ!」
貧果の訳を腕とは認めず、道具のせいにする。
ますます正調ツリオヤジ化が進む私であった。







5杯ならいいですよ(笑)
私の初イカは正月の長井から出船でした。
結果は1杯!
威勢良く120号のオモリを投げたら、最後のツノが人差し指にグッサリ…
腕ごと持ってかれると思いましたよ。
>加藤だいさん
コメントありがとうございます!
腕が持っていかれるような経験、すごいですねー。でもちょっと笑っちゃいましたw
竿は重要ですよね・・・
固めの竿でシマアジ何回バラしたか(>_<)