愛が足りない。

Facebooktwittergoogle_plus

 数年前、海関係の雑誌で、『魚の〆方、下ろし方』という企画に携わった時の話。
 7ページにぎっしり詰まった私の絵と文のお魚ウンチク。
超〜お魚ビギナー向けのこの仕事、なかなか難しかった。
 なるべく分かりやすく書いたつもりだけど、一回目のラフを出した時点で編集長の返事はNO。
「これでは難し過ぎて魚を扱えない読者が引け目を感じてしまいます。
もっと読者に愛を与えるように書き直してください」
 ガ〜ンッ! 目から鱗の意見…。
 それまでの私はスペシャリストを名乗るならヒトより一歩先を行っていなければ、そう思い込んでいたのだから。
 ところが編集長は一歩リードしながら、半歩読者に歩み寄って書け、と私に言う。
 それが、愛だと彼は諭す。
 確かにそのとおりだ。
 でも読者、いわゆる一般のレベルってどのあたりなんだろう?
私のその疑問は編集長自らの質問で理解できた。
「この原稿に書いてある『魚のカマ』ってどこの部分ですか?」
「えっ? あ、それは魚の胸ビレ付近の身のことです」と説明しつつも、魚のカマなんて居酒屋のメニューにもあるじゃんねー、と心うちで舌打ちする私。
「じゃあ、この『イカのエンペラー』ってなんでしょうか?」と続けて編集長。
 そ、そ、そ、そんなことも知らんのかー? とのたうちまわりそうになるのを必死で抑えながら、
「そ、それはイカのミミの名称です」と丁寧に教える私。
 いくら魚に関してはシロートでも、この編集長あまりにレベルが低くないか?
カマとかエンペラーとかって一般常識の範囲じゃないの?
そう疑問に思った私は今度は自分から聞いてみた。
「…あの、反対に質問なんですが、今まで編集長はエンペラーをなんて呼んでいたのですか?」
 すると編集長、自分の無知を恥じらいもせず、きっぱりと、
「ヒラヒラ、ですね」
「…ヒ…ヒラヒラ…ですか…」
 締めきりまで読者よりもまず彼に、精一杯の愛を注いだ私であった。
↓ 実際に発売されたのは、こんな感じ
20080613_180409

「愛が足りない。」への12件のフィードバック

  1. エンペラー!?
    イカ処女ちきも知らんです…( ̄~ ̄;)
    早速、さばき方の↑本探してきます!
    でも、エンペラー…
    厚木インター近くのキラキラした区域にある●●ホの名前みたいらあ~。
    改装オープンとかありそう…ぐへへっ(`∀´)凸

  2. >ちきちきちゃん
    わははは、そのラブホ、知ってる〜。
    あとさ、厚木(だっけ?)の有名な族の名前にもなっていたよねー。
    >おケイさん
    あのコリコリした食感が楽しいんですよね!

  3. じゃあ、その編集長さんは、
    「ヒラヒラの良いオンナ」(もう誰も言わんか?)
    と誰かが言うのを聞いた時、
    「イカ人間」 みたいのを想像するのでしょうか。

  4. 常識 これが案外厄介なんだよね。
     それにしても、エンペラがヒラヒラでよく編集長やってますね。 おそるべし!

  5. よくあります。カーボンは宇宙人と言われてましたから。何語で話しているの? と言われたことあります。

  6. 釣聖ママ!
    目黒だけじゃなく、横浜町田インターにもあったような(笑)
    おケイさん!
    日本酒にあいそうっすね~!?
    ナオ姫様!
    あった、あった~ヾ(≧∇≦)ノ
    彼らのパラリラ~ぁが、すっごい全盛期はあたしの青春時代!(←どんだけ前ぢゃあ~)

  7. 〉愛って無知の事?
    やっさんさんのこのコメントで一冊本が書けそう…
    深いぃネタかも知れん…( ̄~ ̄;)
    イカちゃんのヒラヒラは左右対象なのかあ!?
    ぐへへっ(≧∇≦)

  8. みなさん、コメントありがとうございます!
    愛されてるなーと実感できるのは素晴らしいですね。
    自信をもって編集長に立ち向かいます!

ちきちき へ返信する コメントをキャンセル

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です