★ 『ツリまくりのイキまくり』は隔週間つり情報に連載、のちに単行本になったものから抜粋、大幅改訂したものです
★
………………………………………
『修行の道.2』〜江見港 新栄丸
ツリで家庭を失った梅ちゃんをはじめ、人生を捨てて竿を降るスーパーツリオヤジには何人も遭遇している。
中には仕事や女をフイにしただけでなく、なんと小指を失ったオヤジも!
その日の某氏、仲間数人と泊まりがかりで、遠征釣りに出掛けていた。
初日の釣りを終え、港に上がろうとしていた時のこと。
隣を走っていったダンバー用の船、その金属の付属品に左手が接触!
小指を……すっぱり……。
手をグルグル巻きにしたタオルは、たちまち真っ赤に血で染まっていく。
手の平はジンジン痛み、ドンドン膨れ上がっていく。
それでも病院に行かないどころか、仲間にも冷や汗を垂らしながら、
「なんでもない」と押し通したとか。
しかも仲間に心配をかけないために、その夜の宴会にまで参加。
とうとう「痛い」と一言も言わなかったらしい……。
女1人で船に乗ると、
「船頭になって十年たつけど、こんな変な客初めて見る…」と、私も変人扱いされることも。
特に今回のように、宿をとって釣りをする時はなおさら。
しかし小指をなくしても、釣りを続けるようなメガ級クレージーなツリオヤジがゴロゴロいる沖釣り界。
私なんて、まだまだ甘い、甘い。
さて、師匠からの指令、ウイリーのコマセシャクリ修行2日目は江見の新栄丸にて。
やっぱり船長は呆れた様子で、
「なにが哀しくて、女1人で釣りをするの?」と、すっかり不思議がられる。
でも私の気合はムンムン。
今日こそなんとか上達してやるっ!
まずはハナダイのポイントへ。
しかしこの日はまだまだ水温が高く、ハナダイの食いはイマイチ。
しばらくして「連日、食いまくっている」というイサキのポイントへ移動。
間もなくすると周りでポツポツ食いだした。
船長の推奨はハリにマンボーの皮を付けること。
師匠の指令はウイリーバリでの釣りだったけれど、ここは仕方ない。
私もマンボーを付けて竿を振る。
しかしイサキ釣りっていまいち、どうやっていいのか分からない。
場所、場所で仕掛けも違えば、釣り方も違う。
南伊豆ではコマセをワ〜ッとまいてから、置竿で待て、と教わった。
ダイヤモンドやメルセデスをポンとプレゼントして、後は相手が自らパンツを下ろすのを待つ、高級クラブホステス落とし方。
相模湾ではちょっとずつコマセをまく、ウイリーのシャクリ釣り。
これは絶えずコールやメールをしてアピールする一般庶民マメマメ作戦か。
片貝ではイカタンをフ〜ワリと漂わせた。
大原では空バリでひたすら誘った。
港ごとに全部釣り方が違う。
しかもここ江見の同じ船上でも、全員違うスタイルで竿を振っている。
そのアクションはひど〜く微妙。
私の目にではその違いや特徴を盗めない。
いつものようにツリオヤジを真似ようにも、真似られない。
周りは慣れた様子で5尾、6尾……。
私は食わせた、という実感がない、ラッキーパンチで1尾、2尾……。
な、なんとかしなくちゃ!
今までは……、そうだ!
仕掛けを落とし込んだ時にアタったぞ。
そこで、同じ状況を作ってみる。
えい!と上を向けた竿を下に。
シ〜ン…。
とってもわざとらしいのか、見向きもされない。
もう竿をウロウロ振るだけで、大パニック!
当初の気合はカラカラ空回り。
私以外は入れ掛かりの大爆釣。
私1人を取り残し、みんなズンズンスピードアップ!
私にはとうとう1尾も掛からなくなった……。
そこに船長が、
「底から少し上げて、リール一巻き分ずつ、しっかりシャクリなよ」
船長のお手本とおりにやってみると、ククッ。
食った!
いきなり一荷で食ってきた。
途端にまさかの入れ食い状態!
次々くる、ククッの刺激。
水面に姿を現した魚体を見た興奮。
ビチビチ跳ねるイサキをグッと掴んで、バケツの中へ。
バシャ〜ン!
あとはもう夢中で再投入を繰り返す。
き、気持ちいい〜っ!
まるで処女喪失したばかり、今まで痛いだけだった女のコが、初めてヨロコビに目覚めたよう。
ああっ、快感!
そのまま沖揚がりまで食いは止まらなかった。
スソ脱出はかなわなくても、竿頭の半分もいかなくても、ジ〜ン。
私の得た快楽は大きくて、幸せ〜!
帰宅すると、クーラーの上に婚姻届けを置いて、今度こそとダンナに差し出す。
しかし瞳に期待一杯の星を飛ばしている私とは逆に、ダンナは不機嫌。
「2日も黙って釣りに行きやがって。
このウスバカッ!」
いつまでたっても、家庭内では幸せを掴めそうもない…。







船宿で出会えたら・・・
サインネダッチャイマス♥